昭和40年(1965年)高槻高校卒業の17期・萩原一郎と申します。
私の所属している明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)では、2022年7月28日(木)にオンラインでシンポジウムを開催いたしました。
私はそこで「日本文化が育んだ折紙・扇面の数理」というタイトルで講演しました。
講演の中で「扇」のすばらしさを説明しております。
虫をよけ火をおこすために世界ほぼ同時期に誕生した扇は、平安時代和紙が発明された日本でだけ畳む扇が誕生し世界を驚嘆させました。
そこには美しい三次元芸術がありましたが、忘れられてしまっています(骨を挿していると傷んでしまうので、骨が外されて保存されているためでもあります)。
葛飾北斎とか江戸の優れた絵師のほとんどは「扇」もやっていました。扇は竹を入れることにより扇面は撓み、円を描いていても扇では楕円になってしまいます。扇にするとどのように歪むかを予測して描いていたわけです。
いま、富岳三十六景などをそのまま扇にして、裾野などが歪んだまま販売されています。
我々は、葛飾北斎などが使っていたであろう数理を解き明かし、富嶽三十六景の画像を扇にした際に歪まないよう事前に画像変換しておき扇にした際に迫力あるようにしました。
江戸時代の素晴らしい扇のほとんどは海外に流出しています。
我々の開発したシステムを使用しますと、海外に流出した扇の写真からディジタル扇ができ、だれでも楽しめるように一堂に集めるべく検討中です。
【萩原一郎・17期】