去る2月27日(月)、日本出版学会関西部会が開催され、現在ノンフィクションライターとして活躍中の13期・橋本健午君が、講師を務めた。
ところは、大阪北区茶屋町のアプローズタワー14Fの関西学院大学・大阪梅田キャンパスで、テーマは『「戰線文庫」復刻とその後』であった。
この「戰線文庫」というのは、旧海軍が外地の将兵向けに毎月発行していた慰問雑誌である。ところが物がモノだけに各地の図書館などに断片的には所蔵されてはいても、全貌はほとんど知られていない「幻の雑誌」であった。
去る2002年の秋、この雑誌を多く所蔵している方から、健午君に話が持ち込まれるや、持ち前の決断と行動力で、彼は旧海軍関係の組織はもちろん、国立国会図書館・数多くの古書店などにも足を運び、欠本探しの日々を経て、ようやく、このたび復刻版(株式会社日本出版社)の発刊にこぎ着けたものである。
彼は、「戰線文庫」復刻についての考え方を、『文藝春秋』2005年9月号の巻頭随筆をはじめとして、数多くの新聞や雑誌で発言している。その概要などは、彼のホームページ(「心―こころ―橋本健午のページ」)で紹介されているので、アクセスしてみて下さい。復刻版の内容や購入方法も記されています。
今回の出版学会関西部会は、縁あって同じく13期の中津雅夫君(大阪大学出版会の創設時から編集長を務め、つい先頃に退職、当学会には引続き所属)が司会を務め、業界新聞発行にほんの少し携わった経験を持つ私(杉浩史)も参加をさせてもらった。出版界で活躍する校友たちの一断面といえよう。
このたびは阪大・神戸大・大阪市大それに関学などの先生方や院生がいつもよりは数多くの出席があり、何時になく活況を呈した…とのことであるが、偏にテーマの斬新性によるものと思われる次第であった。
【杉浩史(13期)】