「先輩」と呼びたくて

 自分たちの創部以前に同好の先輩がいた! それも、その方面で今も活躍中の人だ。ぜひ会ってみたい。そんな夢のような懇談会が平成29年11月28日の夜、大阪梅田のビアホールで実現した。

 その先輩の存在に気がついたのは田窪君(19期)。産経新聞夕刊(大阪)に隔週連載されている関三平画「昭和の電車」を愛読していたが、あるとき、「淡路駅から6年間京都方面の学校に通った」という解説に目が吸い込まれた。この人は先輩ではないのか。しかし、署名は画号・ペンネーム。あちこち聞き回って一年有余、ようやく本人にたどりついた。さすが、(元)新聞記者の嗅覚である。

 関興三氏(11期)は高槻高校卒業後、京都工芸繊維大学で意匠を学び、将来は鉄道車両のデザインにたずさわりたいと願ったが、車両メーカーへの就職は実現せず、独立独歩でデザイン事務所を運営されている。そのお仕事の一端が新聞連載中の「昭和の電車」で、途中の1話から100話までは保育社から美しい図録となって出版されている。

 私たちの目の前に現われた関先輩は孤高な芸術家という雰囲気で、自らの「昭和の電車」原画コピーを配布され、それをもとに対話が進んだ。

 戦後、阪急京都線に特急が復活した時、茶色とオレンジのツートンカラーを採用した電車が走ったとは聞いていたが、目の前に復元された絵の鮮やかさには、皆が感嘆した。雑誌で見る褪色したカラー写真とは別物の、自らの記憶を見事に再現した実景がそこにあった。ペン画のように直線的な線を使うのではなく、フリーハンドの柔らかさを生かした電車絵は、一見すると絵本のようでもある。しかし、彩色はもとより、パンタグラフの形から床下器具の配置まで、あらゆるものに考証を加えた資料絵画である。氏の工業デザインを専門とする外観見取図の正確さと、沿線風景をバックに快走する美しき電車を描こうとする画家の技量とが融合した、希代の図説電車名鑑であることを再認識した。

 あっという間の二時間がすぎ、今後も‥‥という要望には ①先輩と呼ばない、②割り勘にする、を条件に承諾された。「夜型なので、これから中津の仕事場に出勤です」と言い残し、三番街方面へ向かう人波の中に消え去られた。

(伊東久之・18期・軌楽会(鉄道研究部OB会)=itoh0169◎softbank.ne.jp)◎を@に読み替えてください

写真は向かって左から加藤順三(20期)、鈴木速夫(18期)、山本博史(18期)、関先輩、伊東久之(18期)、田窪愼(19期)。このほか懇談会には稻田增光槻友会前会長(19期)も参加しました。

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